<翻訳>パウェル・ワーガン「ヨーロッパのためのグリーン・ニューディール」

本会共同代表朴勝俊関西学院大学教授による翻訳です。

最近アメリカ民主党左派のスター議員アレクサンドリア・オカシオコルテスが提唱していることで知られてきた「グリーン・ニューディール」とは、再生可能エネルギーの開発などのために積極的な財政出動を行って、「緊縮策と気候変動という双子の危機」を乗り越える政策パッケージです。

ヨーロッパでも、ドイツ緑の党など、いくつかの左派的な政治勢力がこれを提唱していますが、ヤニス・バルファキス率いるDiEM25(欧州に民主主義を運動2025)の看板政策の一つでもあります。

本稿の著者のパウェル・ワーガンは、現在バルファキスと組んで、欧州にグリーン・ニューディールを導入する活動に取り組んでいます。この翻訳は、社会主義の週刊誌Tribuneのウェブ版で発表されている彼の論考をもとにしており、グリーン・ニューディールの問題意識と基本的アイデアが記されています。一読してわかるとおり、気候変動危機を、金融危機と不可分の、緊縮政策や規制緩和の帰結ととらえており、1%の強者の都合のために引き起こされて、多数の大衆に犠牲を払わせるものであると指摘しています。

グリーン・ニューディールは、直接気候変動危機解決と取り組む事業であると同時に、反緊縮的財政出動によって持続的雇用を生み出すプロジェクトとして打ち出されています。財源は、量的緩和のために無駄に銀行に溜め込まれた資金を、欧州公共銀行債を通じて活用するとされています。

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