月別アーカイブ: 2023年2月

<レポート018> PEP Discussion Paper 2023-01 朴勝俊 「管理通貨制度において貨幣は政府支出によって生まれ徴税によって消滅する」という事実を考慮したIS-LM モデルの比較静学分析

本会共同代表の朴勝俊関西学院大学教授が、民間投資や赤字財政支出に際しての信用創造や徴税によるマネーストックの減少を考慮にいれて、これらの効果の有無で場合分けして、財政支出や増税、金融政策の効果を比較静学分析したディスカッションペーパーを執筆したので、ここに公表します。

<要約>
 管理通貨制度においては、貨幣(マネーストックすなわち現金と銀行預金の合計)は政府支出によって生まれ、徴税によって消滅する。したがって、IS-LMモデルにおいて拡張財政政策がなされる場合には、たとえ政府が金融機関に対して新規国債を売る場合であっても、おのずと貨幣が増えることになる。また、企業が銀行から融資を受けて設備投資をする際には、いわゆる信用創造(銀行の融資債権と、貨幣の一種である預金負債が両建てで増えること)によって貨幣が生まれる(逆に融資が返済されると貨幣が消滅する)。このことは、財政・金融政策の結果として金利が変化した場合に、銀行借り入れによる民間設備投資が追加的に増減するならば、政策の効果を増幅させることを意味する。本稿はこのよう観点から慎重に場合分けを行い、比較静学分析の計算結果を整理した。

ダウンロード↓
economic policy report 018