欧米反緊縮経済学勉強会

ひとびとの経済政策研究会では、下記の通り、「欧米反緊縮経済学勉強会」を開きます。

左派ニューケインジアン、MMT、ポジティブマネー派、その他のヘリマネ派・信用創造廃止派などの諸理論の間の関係を整理し、いろいろな政治勢力がどのような経済理論をバックにしているのかを探ります。

ひとびとの経済政策研究会「欧米反緊縮経済学勉強会」

日時:2018年8月10日(金) 15:00〜16:40

場所:キャンパスプラザ京都6階 第1講習室

報告:松尾匡

イベント告知「経済学者と講談師、高橋是清を語る!」

玉田玉秀斎さん主催のイベントのお知らせです。

8月1日(水)、講談師の玉田玉秀斎さん(http://www.mc-kikaku.jp/talent/259)と、
「経済学者と講談師、高橋是清を語る!」と題して、
講談+レクチャー+トークのゆうべを開催いたします。
世界で最初に「世界大恐慌」から脱した日本、
高橋是清の財政・金融政策とは、軍国主義に対する高橋の
戦いとは!? 笑いと涙(?)のエンターテインメントで
楽しく学んでいただけたらと思います。

お誘い合わせの上、おいでくださいませ!
よろしくお願いします、

「経済学者と講談師、高橋是清を語る!」
日時: 2018年8月1日(水) 19:00 – 20:45
場所: 愛日会館(大阪市中央区本町4丁目7-11 TEL:06-6264-4100)
(御堂筋線 本町駅4番、四つ橋線 本町駅25番出口より徒歩5分)
http://www.aijitsu.jp/access/
料金:2,000円。

ご疑問への回答(松尾匡)

松尾匡です。ツイッター上での私への批判を紹介くださり、私に回答を求めておられるように読めるブログ記事がありましたので、回答を書き込みました。同様の疑問を持たれているかたが多いかもしれませんので、この際広くご覧いただけたら幸いです。
https://ameblo.jp/monzen-kozo100/entry-12381626143.html
ネット音痴で知らないところで批判が流れて、いつも反論の機会を持たないままですので、このような機会をいただいて本当にありがたいです。どなたでも、今後同様の機会をいただけたら助かります(何かと忙しいですので、せっかく機会をいただいてもフォローできないかもしれませんけど、それはご海容ください)。

地方財政経済セミナー第二弾のご案内

「ひとびとの経済政策研究会」では5月1日の地方財政経済セミナーの後続企画として、下記のセミナーを行いますので、ご関心のあるかたはご参加ください。

田中信一郎さん講演会

地方自治体の経済と財政を建て直す秘策とは?
―― 知られざる環境先進県・長野県のエネルギーシフトに学ぶ ――

日時:6月16日(土) 14:00~16:30
場所:ラボール京都
参加費:1000円
主催:ひとびとの経済政策研究会
共催:e未来の会

日本では、地方自治体の経済・財政・雇用の状況は長年、厳しい状況が続いてきました。お金と
人材が大都市に吸い上げられ、財政支援も引き締められ、成長や発展を望むことさえ許されない
かのようです。でも、そんな現状に真っ向から挑戦している県があるのをご存じですか?長野県
はエネルギーシフト政策を、経済政策の中心に据えています。ドイツとオーストリアに学び、「
地産地消」を超える「環境と経済成長の両立」を目指し、政策を実施しています。この改革の中
心におられた田中信一郎さん(元長野県エネルギー政策担当企画幹)をお招きして、じっくりお
話しを伺います。

地方財政経済セミナーのレジュメとスライド(追記:動画リンク)

5月1日に実施しました地方財政経済セミナーは、約20名のご参加をいただき、質疑が大変盛り上がり、充実して終わりました。終わってからの懇親会も盛況でした。講師を引き受けてくださいました井奥まさき高砂市議会議員、ご参加いただいたみなさんに深く感謝します。ありがとうございました。

井奥さんから、当日のレジュメとスライドファイルが送られてきましたのでアップします。下記リンクよりダウンロードしてください。

レジュメ(MSWord) IokuSeminar

スライド(pdf) 20180501IokuSeminar

※ スライドのパワーポイントファイルは下記リンク先におきました。ご自由にダウンロードしてください。
http://shiryouoki.sdbx.jp/PEP20180501/

追記:当日の講演動画がユーチューブでアップされました。下記リンクよりご覧ください。
https://youtu.be/1aTDGsE90Xk

(本投稿は、下記投稿者表記にかかわらず、「ひとびとの経済政策研究会」公式の掲載です。)

欧米反緊縮左翼政治勢力の財政金融政策論総ざらえ

お世話になっています。本会共同代表の一人、松尾匡です。連投失礼します。

この春から前期の間、大阪にあります「労働学校アソシエ」さんで、週一回の講義をさせてもらっています。

その第3回目の講義で使った資料が、欧米反緊縮左翼政党・政治家などの財政・金融政策論について、愚見の知る限り集めたものでした。カナダ、ポルトガル、スウェーデンで実際にとられた反緊縮政策の実績も紹介しています。

ご関心のあるかたもいらっしゃると思いますので、拙ホームページにアップしました。下記のリンク先よりダウンロードしてください。

http://matsuo-tadasu.ptu.jp/AssocieLec18-03.pdf

新刊書ご紹介

お世話になっています。本会共同代表の一人、松尾匡です。

このほど、ブレイディみかこさん、北田暁大さんとの鼎談書『そろそろ左派は<経済>を語ろう——レフト3.0の政治経済学』が亜紀書房から出版されました。

あとがきでも書きましたが、編集者の人がこの題名をつけたとき、労働問題や貧困問題やグローバリズム批判とかしている人から、「俺はもう語ってる」と怒られると言って、数日深夜に及ぶ抵抗をしていたのですが、販売しろうとの思いつくありとあらゆる対案は却下されてしまい、結局挫折しました。なんとか食い下がって<経済>と山カッコをつけてもらって妥協したのですけど。…ここに、縮小志向や財政均衡志向と縁を切って、人々の雇用を拡大しもっと安心で豊かな暮らしを約束する政策を語ろうという意味を込めたつもりです。

以下に、ブレイディみかこさんによる、本書のまえがき部分を、本人と編集者の同意を得て転載します。ご関心をお持ちになりましたら、ぜひご入手いただき、ご検討ください。

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はじめに 経済にデモクラシーを!
ブレイディみかこ

昨年、クリスマス前の英国の書店に堆く平積みされ、多くの人々が友人や家族にプレゼントしていた本があった。わたしも目の前で、大学生ぐらいの若い女の子が三冊まとめてレジに持っていく姿を見た。その本の題名は『Talking to My Daughter About the Economy : A Brief History of Capitalism』といい、著者はギリシャの元財務相で経済学者のヤニス・バルファキス。一〇代の娘のために彼がやさしく経済について語るというコンセプトで書かれた本だ。そのまえがきには、こんなことが書かれている。

「誰もがきちんと経済について語ることができるようにするということは、善き社会の必須条件であり、真のデモクラシーの前提条件だ」

他方、スペインには「欧州の新左派」と呼ばれるポデモスという政党がある。その党首、パブロ・イグレシアスは「経済にデモクラシーを」という言葉の提唱者だ。この言葉のとおり、欧州の左派の間ではデモクラティック・エコノミーというコンセプトがさかんに議論されている。

「きっとそれは左派っぽい経済改革のことで、貧困対策の分配をきちっとやって弱者を救いましょうとか、ブラック労働をなくしましょうとか、そういうことを言っているんでしょう」ぐらいに思っていると、ポデモス提唱の経済政策を見るとびっくりするだろう。「EUの安定・成長協定にフレキシビリティーを要求する」「欧州中央銀行の財政ファイナンスを妨げるルールの変更」「スペイン憲法の財政均衡ルールの廃止」と、がっつりマクロなことが書かれているからだ。

前述のヤニス・バルファキスもポデモスと同様の経済政策を唱えているし、ついに支持率で与党を抜いた英国労働党の党首ジェレミー・コービンも彼らと志を同じくしている。

こうした欧州の左派が主張するデモクラティック・エコノミーの概念は、経済活動に関する決定権を社会で広く分散し、人々が自らの人生に主導権を持って金銭的安定を確保できる経済を実現しようという考え方だ。政治制度としての民主主義がある程度確立されたとしても、経済的不平等が存在すれば、民主主義は不完全である。その経済的なデモクラシーの圧倒的な遅れこそが、トランプ現象やブレグジット、欧州での極右勢力の台頭に繋がっているとすれば、いま左派の最優先課題が経済であることは明確である。これが欧州の左派の共通認識だ。

さて、そうした認識を持った左派がダイナミックに活動している欧州に住むわたしが、日本に帰省すると違和感をおぼえることが往々にしてある。

まず、左派の人があまり経済に関心を持っていない。というか、経済を語ることは左派の仕事ではないと思っているように感じられるときがある。また、「経済成長は必要ない」という非常に画一的な意見を耳にすることが多い。

「では貧困や格差の問題には興味ないの?」と聞くと「分配は重要」という答えが返ってくるのだが、「成長とかもうあるわけがない」「これからの日本は内面を豊かにせねばならない」と彼らが言う社会で、どうやっていま苦しんでいる人々のために実質的な分配をおこなっていくのかは不明瞭である。

この経済に対するぼんやりした態度は、近年の欧州の左派とは真逆と言ってもいい。

まあそれでも欧州に追随することはないのだし、日本には日本独特の左派がいてもいいが、しかしそうも言っていられなくなるデータがある。スコットランドのグラスゴー大学教授アンドリュー・カンバースが二〇一七年に発表した、まさにデモクラティック・エコノミーの達成度合いを測る指数と言える「経済民主主義指数」のリストを見ると、日本はOECD加盟の三二ヶ国の中で、下から四番目なのだ。日本の下には債務と緊縮で疲弊しているギリシャがいて、その下にはトランプの米国がいる(ちなみに最下位はスロバキアだった)。

これは何を意味するのだろう。つまり、日本は世界で経済的に最も不平等な国の一つであり、「経済にデモクラシーを」後進国であるということだ。日本人の家計金融資産が史上最高の一八三二兆円と報じられている一方で、家庭を持ったり子どもをつくったりするのはエリートのすることだと思う若者たちが存在し、就職氷河期に社会に出ることを余儀なくされたロスジェネ世代が忘却され、シングルマザーたちが毎月の生理用品を買うために食事を抜いているということだ。

こんな社会に生きる左派を名乗る人々が「経済に興味がない」と言うのは、日本独自の風土とか歴史的事情とかいうより、単に無責任なのではないだろうか。

日本の左派の人々と話していると、彼らの最大の関心事は改憲問題であり、原発問題であり、人種やジェンダー、LGBTなどの多様性と差別の問題だ。こうしたイシューは社会のデモクラシーを守るために重要だと考えられているが、経済はデモクラシーとは関係のない事柄だと思われている。これは日本があまりにも長い間、なんだかんだ言っても自分たちはまだ豊かなのだという幻想の泡に包まれてきたせいもあるだろうし、豊かだった時代への反省と反感が強すぎるせいかもしれない。

だが、これほど歴然と経済にデモクラシーが欠如している国であることが明らかになっているのに左派が経済に興味がないという状況は、国内経済の極端な不均衡が放置されている事実ときれいに合わせ鏡になっているように思える。豊かだった時代は良くなかったと思う人々もいるかもしれないが、豊かだった時代を知らない世代もいるし、豊かだったはずの時代から現在まで一貫して貧しい人々もいる。

そして左派とは本来、社会構造の下敷きになっている人々の側につくものであり、不公平は不可避だという考え方を否定するものではなかったのか。

「誰もがきちんと経済について語ることができるようにするということは、善き社会の必須条件であり、真のデモクラシーの前提条件だ」とヤニス・バルファキスは書いた。

欧州の左派がいまこの前提条件を確立するために動いているのは、経世済民という政治のベーシックに戻り、豊かだったはずの時代の分け前に預かれなかった人々と共に立つことが、トランプや極右政党台頭の時代に対する左派からのたった一つの有効なアンサーであると確信するからだ。

ならば経済のデモクラシー度が欧州国と比べても非常に低い日本には、こうした左派の「気づき」がより切実に必要なはずだし、時代に合わせて進化を遂げようとしている海外の左派の動きを「遠い国の話」と傍観している場合でもないだろう。わたし自身にとり、間接的、直接的に『ヨーロッパ・コーリング』以降の執筆活動の核であり続けたこのテーマを、経済学者の松尾匡さん、社会学者の北田暁大さんと日本で語り合う幸運な機会に恵まれた。この本は、英国在住の市井のライターが、お二人から多くの貴重なことを教えていただいた時間の記録でもある。

本書が、日本に「真のデモクラシーの前提条件」をつくるための助けとならんことを祈っている。

地方財政経済セミナーのご案内

「ひとびとの経済政策研究会」では下記のセミナーを行いますので、ご関心のあるかたはご参加ください。

ひとびとの経済政策研究会主催 地方財政経済セミナー

「日本の地方財政・地方経済はどこが問題なのか」
講師:井奥まさき(自治体議員政策情報センター調査部、兵庫県高砂市議)
日時:2018年5月1日18:30-20:30
場所:キャンパスプラザ京都(JR京都駅から徒歩5分、ビックカメラ前)、6階第1講習室
http://www.consortium.or.jp/about-cp-kyoto/access
入場無料

私たちは、立命館大学経済学部松尾匡教授ら京都近隣の研究者による研究グループ「ひとびとの経済政策研究会」です。私たちはこのかん、欧米反緊縮経済政策論の紹介や、日本政府・日銀のとるべき反緊縮経済政策の提言に取り組んできました。他方、先日の京都府知事選挙で福山和人候補が反緊縮政策と解釈できる政策を掲げて善戦したように、地方レベルにおいてもこうした政策を求める潜在ニーズは大変大きなものがあると予想されます。しかし、貨幣発行のできる中央銀行を持たない地方政府では、財源問題など、中央政府の場合よりも厳しい制約を考えなければなりません。それゆえ、税制・交付金などの様々な制度や、地方経済のおかれた具体的な条件について専門的知識がない状態では、なかなか政策を論じるまでには至りませんでした。

そうしたところ、このたび、緑の党の高砂市議会議員の井奥まさきさんが、地方経済・地方財政のおかれた問題に精通しておられるうえ、それをふまえて、反緊縮的な自治体政策と、それを支えるための税制や緩和マネー活用法についてのアイデアをお考えになっていることを知りました。そこで、ぜひじっくりとご教示いただく機会をもちたいと考え、このセミナーを企画しました。地方経済、地方財政の問題や自治体のとるべき経済政策について関心のあるかたは、この機会に私たちといっしょに勉強されることを呼びかけます。

お問い合わせ matsuo-t@ec.ritsumei.ac.jp (松尾匡)

<翻訳>ル・フィガロ記事「公的債務:インフレーションに賭けるメランション」(4/5訂正)

協力者の輝野洪瑞さんが、本ブログ昨年4月22日の記事「誰かメランション政策を訳して下さい」に応えて、フランスの『ル・フィガロ』ウェブサイトの2017年4月10日のギョーム・ポワンさんの署名記事

Dette publique: Mélenchon fait le pari de l’inflation

を、翻訳してくださいました。どうもありがとうございます。下記リンクよりダウンロードしてください。

公的債務:インフレーションに賭けるメランション

これによればメランションさんは、すでに2014年から「債務など返さなくてよい」として欧州中銀による加盟国債の買取を主張していましたが、昨年の大統領選挙においても、欧州中銀が公債を買い取ることで4〜5ポイントのインフレを実現することを主張しています。そして、欧州中銀が買い取った国債は永久債化すると言っています。

※ 3月29日にアップした原稿に対して、訂正版が送られてきましたのでアップします。インフレ率の数値について、「パーセント」とあったものを「ポイント」と修正したこと、欧州中銀が買い取った国債を永久債化すると言ったのがメランションの経済顧問とされていたのがメランション本人と修正したことなどが主な修正点です。(2018年4月5日)