参考資料」カテゴリーアーカイブ

政策提言に関連した参考資料

経済概観2024年2月号

ひとびとの経済政策研究会のメンバーの朴勝俊さんが監修し、私、松尾匡も検討に加わったもとで、れいわ新選組の長谷川羽衣子さんが報告した、2024年2月1日付の経済概観をここに公表します。

インフレはおさまりつつあり、円相場は円高方向に向かうことが見込まれる。貿易・サービス赤字は解消に向かっている。他方で、GDPギャップは需要不足側に戻り、雇用・求人倍率の伸びも頭打ちになり、賃金は上昇しているが物価に追いついていない。倒産件数は急増している。——というものです。

私見では、総じて景気回復が民衆に恩恵が及ぶ前に頭打ちになっている段階と見られます。これが単なる踊り場なのか、後退につながるのかはアメリカ経済次第というのが、現政権のもとでの現状のように思えます。

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keizaigaikan2402.pdf

実質実効為替レートは高いほうがいいのか?

最近、日経が実質実効為替レート(REER)の安さを批判するような記事を連発していました。世間一般にも、専門家も含め、これが高いほうがいいとするような誤解が多いようです。

本会共同代表の朴勝俊関西学院大学教授が、こうした議論を批判する文章を書いていますので紹介します。実質実効為替レートとは何かということから、丁寧に説明しています。

朴勝俊「実質実効為替レートは高いほうがいいのか」

また朴共同代表は、このことについてのツイートも連投しています。その中には、BISのペーパーでの関連する説明の訳も含まれています。

https://twitter.com/psj95708651/status/1487635732365975555?s=20&t=GVSlvBW6HMAEivjOGbvkYg

私(松尾匡)からも一言言えば、デフレが名目の円高で相殺されないと当然REERは安くなります。デフレと同じだけ名目の円高になりでもしたら、デフレスパイラルも極まれりというところで、大変なことになります。デフレの間、REERが低下し続けてよかったのです。

しかも、そのかん貿易にしめる中国の割合が高くなっています。中国のインフレが名目の元安で相殺されない限り、やっぱり円の実質実効為替レートは下がります。

人民元は長期的に高まっています。このかんたくさん貿易黒字を出していて、ほっといたら元がすごく高くなるところ、中国の通貨当局は、そうならないように元を作って売って外貨を買って、元高のスピードを和らげてきたので、ゆるやかな元高とインフレがともに起こってきたわけです。

そしたら円の実質実効為替レートは安くなって当然です。

松尾匡守山連続講演資料

本会共同代表の一人の松尾匡立命館大学経済学部教授が、「市民の会しが」さんからのご依頼で、2020年2月から3月にかけて守山市で毎週行った四回連続講演「「市民と野党」が勝つための経済政策」の講演資料を公開します。

パワーポイントファイルと、それをpdfにしたものからなります。

第1回「なぜ安倍政権に野党が勝てないのか」
第2回「欧米左派ポピュリズムの反緊縮政策とその背景」
第3回「消費税不況後の体制側ビジョンと総選挙に向けた対案」
第4回「さまざまな疑問に答える」(円が暴落するのでは? 国債が暴落する? 金利が上がったとき困らない? ハイパーインフレにならないの?等)

下記リンク先のファイルに格納していますのでダウンロードしてください。
https://drive.google.com/drive/folders/1xPcps76mpUag5PFeIXn7p5WCS4bolpAm?usp=sharing

<翻訳>パウェル・ワーガン「ヨーロッパのためのグリーン・ニューディール」

本会共同代表朴勝俊関西学院大学教授による翻訳です。

最近アメリカ民主党左派のスター議員アレクサンドリア・オカシオコルテスが提唱していることで知られてきた「グリーン・ニューディール」とは、再生可能エネルギーの開発などのために積極的な財政出動を行って、「緊縮策と気候変動という双子の危機」を乗り越える政策パッケージです。

ヨーロッパでも、ドイツ緑の党など、いくつかの左派的な政治勢力がこれを提唱していますが、ヤニス・バルファキス率いるDiEM25(欧州に民主主義を運動2025)の看板政策の一つでもあります。

本稿の著者のパウェル・ワーガンは、現在バルファキスと組んで、欧州にグリーン・ニューディールを導入する活動に取り組んでいます。この翻訳は、社会主義の週刊誌Tribuneのウェブ版で発表されている彼の論考をもとにしており、グリーン・ニューディールの問題意識と基本的アイデアが記されています。一読してわかるとおり、気候変動危機を、金融危機と不可分の、緊縮政策や規制緩和の帰結ととらえており、1%の強者の都合のために引き起こされて、多数の大衆に犠牲を払わせるものであると指摘しています。

グリーン・ニューディールは、直接気候変動危機解決と取り組む事業であると同時に、反緊縮的財政出動によって持続的雇用を生み出すプロジェクトとして打ち出されています。財源は、量的緩和のために無駄に銀行に溜め込まれた資金を、欧州公共銀行債を通じて活用するとされています。

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薔薇マークキャンペーン公式ホームページに「反緊縮経済政策モデルマニフェスト2019」を提供

1月17日から、本会主要メンバーも呼びかけ人に加わって、「薔薇マークキャンペーン」が始動しています。これは、4月の統一地方選挙、7月の参議院選挙で、主に野党の立候補予定者に、反緊縮の経済政策を公約の表に掲げてもらうことを呼びかけ、掲げてくれた候補には、認定マークの薔薇マークを出すという運動です。

本会では、薔薇マーク認定候補が経済政策公約を作る際の参考になるように、「反緊縮マニフェスト2017」をバージョンアップして、「反緊縮モデルマニフェスト2019」を作成し、薔薇マークキャンペーンの公式ホームページに掲載しました。

この内容は、薔薇マークキャンペーンの統一見解ではなく、同キャンペーンの呼びかけ人は個々の内容に責任をおっていません。また、このマニフェストを取り入れることは薔薇マーク認定の認定条件とは関係ありません。

「反緊縮モデルマニフェスト2019」

「反緊縮マニフェスト2017(案)」新デザイン版

本会が昨年発表した「反緊縮マニフェスト2017(案)」、これまで、ワード原稿版と、印刷用pdf版(10ファイル)の二版を本ブログにアップしましたが、このほど、有志のご賛同者がpdfファイル一本にまとめてデザインを一新してくださいましたので、公表いたします。
公約ごとにアイコンができていて、見やすくなっています。宣伝に、研究に、公約づくりの参考に、拡散いただければ幸いです。

最初に発表したときにも述べましたとおり、目標数値やスピードについては、政治家サイドで薄まることを若干織り込んだものとなっていますが、実現までのプロセスについては、段階を省かずに書いたものが多いつもりです。

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編集、作成いただいた、田川佳さんと、有限会社ツヴァイさんに深く感謝いたします。

地方財政経済セミナーのレジュメとスライド(追記:動画リンク)

5月1日に実施しました地方財政経済セミナーは、約20名のご参加をいただき、質疑が大変盛り上がり、充実して終わりました。終わってからの懇親会も盛況でした。講師を引き受けてくださいました井奥まさき高砂市議会議員、ご参加いただいたみなさんに深く感謝します。ありがとうございました。

井奥さんから、当日のレジュメとスライドファイルが送られてきましたのでアップします。下記リンクよりダウンロードしてください。

レジュメ(MSWord) IokuSeminar

スライド(pdf) 20180501IokuSeminar

※ スライドのパワーポイントファイルは下記リンク先におきました。ご自由にダウンロードしてください。
http://shiryouoki.sdbx.jp/PEP20180501/

追記:当日の講演動画がユーチューブでアップされました。下記リンクよりご覧ください。
https://youtu.be/1aTDGsE90Xk

(本投稿は、下記投稿者表記にかかわらず、「ひとびとの経済政策研究会」公式の掲載です。)

欧米反緊縮左翼政治勢力の財政金融政策論総ざらえ

お世話になっています。本会共同代表の一人、松尾匡です。連投失礼します。

この春から前期の間、大阪にあります「労働学校アソシエ」さんで、週一回の講義をさせてもらっています。

その第3回目の講義で使った資料が、欧米反緊縮左翼政党・政治家などの財政・金融政策論について、愚見の知る限り集めたものでした。カナダ、ポルトガル、スウェーデンで実際にとられた反緊縮政策の実績も紹介しています。

ご関心のあるかたもいらっしゃると思いますので、拙ホームページにアップしました。下記のリンク先よりダウンロードしてください。

http://matsuo-tadasu.ptu.jp/AssocieLec18-03.pdf

<翻訳>ル・フィガロ記事「公的債務:インフレーションに賭けるメランション」(4/5訂正)

協力者の輝野洪瑞さんが、本ブログ昨年4月22日の記事「誰かメランション政策を訳して下さい」に応えて、フランスの『ル・フィガロ』ウェブサイトの2017年4月10日のギョーム・ポワンさんの署名記事

Dette publique: Mélenchon fait le pari de l’inflation

を、翻訳してくださいました。どうもありがとうございます。下記リンクよりダウンロードしてください。

公的債務:インフレーションに賭けるメランション

これによればメランションさんは、すでに2014年から「債務など返さなくてよい」として欧州中銀による加盟国債の買取を主張していましたが、昨年の大統領選挙においても、欧州中銀が公債を買い取ることで4〜5ポイントのインフレを実現することを主張しています。そして、欧州中銀が買い取った国債は永久債化すると言っています。

※ 3月29日にアップした原稿に対して、訂正版が送られてきましたのでアップします。インフレ率の数値について、「パーセント」とあったものを「ポイント」と修正したこと、欧州中銀が買い取った国債を永久債化すると言ったのがメランションの経済顧問とされていたのがメランション本人と修正したことなどが主な修正点です。(2018年4月5日)

「消費者法ニュースNo.114」特集記事が読めます

多重債務問題などに取り組んでおられる弁護士さんや司法書士さんの雑誌、『消費者法ニュース』の最新114号で、「貧者のための経済政策——選択すべき経済政策とは」という特集が組まれています。ここに、私たち「ひとびとの経済政策研究会」が昨年夏の民進党代表選挙にあわせて発表した政策提言レポート「普通のひとびとが豊かになる景気拡大政策——安倍自民党に野党が勝つために」の一部(後ろ三分の一)を転載していただきました。レポートの残りの部分の内容については、私、松尾匡が、その後得られたデータなどを補足しながら別の記事にまとめています。そのほか、編集者の青木弁護士、森永卓郎さん、山本太郎さんが下記のように寄稿なさっています。みなさん、ぜひ世に知らせるべき、すばらしい記事を書いていらっしゃいます。

『消費者法ニュース』No.114 目次より

特集2:貧者のための経済政策―選択すべき経済政策とは―

  • 経済政策を語ろう…青木歳男(弁護士[福岡])
  • 我々は安倍首相の景気作戦に負けている!…松尾匡(立命館大学経済学部経済学科教授)
  • 普通のひとびとが豊かになる景気拡大政策―安倍自民党に野党が勝つために―…松尾匡(ひとびとの経済政策研究会共同代表 立命館大学経済学部教授)・朴勝俊(ひとびとの経済政策研究会共同代表 関西学院大学総合政策学部教授)・ひとびとの経済政策研究会
  • 日本の財政は世界一健全だ…森永卓郎(獨協大学経済学部教授)
  • 山本太郎が実行したい最低限の政策…山本太郎(参議院議員[自由党])

この特集の全文pdfを、青木先生が、このブログに掲載してほしいとおっしゃって提供してくださいました。森永さん、太郎さんには了承済みとのことですので、ここに公開します。下記より、ダウンロードしてください。

SyouhisyahouNews

※ 本会のレポート(report-006)の、この雑誌に収録いただいた部分の中に一箇所誤記がありました。ヤニス・ヴァルファキスらの提言 “A Modest Proposal” を「最も穏健な提案」と訳していますが、もちろん「穏健な提案」の間違いです。『消費者法ニュース』の関係者のみなさんはじめ、読者のみなさんにおわびいたします。私松尾が、元ネタと思われるスウィフト(この名前も覚えていなかったが)のModest Proposalを、間違えて「最も穏健なる提案」とすっかり思い込んで記憶していたためにうっかりしてしまいました。英語力のなさが露呈して、お恥ずかしいかぎりです。(2018年3月2日 松尾匡)