本会共同代表の朴勝俊関西学院大学教授が、民間投資や赤字財政支出に際しての信用創造や徴税によるマネーストックの減少を考慮にいれて、これらの効果の有無で場合分けして、財政支出や増税、金融政策の効果を比較静学分析したディスカッションペーパーを執筆したので、ここに公表します。
<要約>
管理通貨制度においては、貨幣(マネーストックすなわち現金と銀行預金の合計)は政府支出によって生まれ、徴税によって消滅する。したがって、IS-LMモデルにおいて拡張財政政策がなされる場合には、たとえ政府が金融機関に対して新規国債を売る場合であっても、おのずと貨幣が増えることになる。また、企業が銀行から融資を受けて設備投資をする際には、いわゆる信用創造(銀行の融資債権と、貨幣の一種である預金負債が両建てで増えること)によって貨幣が生まれる(逆に融資が返済されると貨幣が消滅する)。このことは、財政・金融政策の結果として金利が変化した場合に、銀行借り入れによる民間設備投資が追加的に増減するならば、政策の効果を増幅させることを意味する。本稿はこのよう観点から慎重に場合分けを行い、比較静学分析の計算結果を整理した。
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economic policy report 018