本会共同代表の朴勝俊関西学院大学教授によるディスカッションペーパーです。ここでは、「法人企業統計調査」から得られた2011年から2021年までの日本企業のデータを使って、実質付加価値の労働生産性の変化を、付加価値率、従業員数、売上高の変化に要因分解して、企業規模別に特徴を検討しています。
それによれば、全産業では総じて売上高減少が生産性の低下要因となっており、不況(総需要不足)が付加価値生産性低迷の原因だったことが示唆されれています。また、大企業は付加価値率を高めたことが生産性低下の阻止要因になっている一方、小企業は付加価値率を下げてたことが生産性の低下要因になっています。著者はここから、大企業が中小の下請け企業に値下げを強いてきた可能性を読み取っています。また、製造業では従業員数の削減が生産性向上に寄与してきたのに対して、非製造業では一貫して従業員数は増加してきたことも指摘されています。
総じて、中小企業のいわゆる生産性停滞の原因は、努力不足にあるのではなくて、不況や大企業による圧迫に原因があることが示唆されるファクトファインディングとなっています。
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economic policy report 020