<翻訳>ヤニス・バルファキス「ヨーロッパを救うひとつのニューディール」

ヤニス・バルファキス「ヨーロッパを救うひとつのニューディール」 2017年9月9日ver.1投稿、訳:松尾匡・朴勝俊)

バルファキス(Yanis Varoufakis)は、2015年のギリシャ総選挙で成立した急進左翼党政権で財務大臣を務め、緊縮政策の押し付けに対抗して、大幅な債務帳消しを主張して交渉の最前線に立つも、欧州中銀のマネー兵糧攻めに首相が降参するのに合わせて辞任した人物である。

その後、バルファキスは、イギリスのメディアに頻繁に登場して辛辣にEU当局を批判し、昨年6月には、テクノクラートの独裁へと進むEUを民主化するための運動、Democracy in Europe Movement 2025 (「ヨーロッパに民主主義を」運動2025, 略称DiEM25)を立ち上げた。この有名なメンバーには、言語学者のノーム・チョムスキー、経済学者のジェームズ・ガルブレイス(ジョン・ケネス・ガルブレイスの息子)、社会運動家のスーザン・ジョージ、哲学者のトニ・ネグリ、映画監督のケン・ローチ等がいる。

このDiEM25が、「ヨーロッパ・ニューディール」と称する経済政策提言を行っている。
本論考は、ヨーロッパの社会民主主義者を中心とした左派系の論客が寄稿するウェブ雑誌「ソーシャル・ヨーロッパ」(Social Europe)に掲載され、著者本人のホームページにも収録されているもので、DiEM25の「ヨーロッパ・ニューディール」を紹介しているものである。

ここでは、欧州統合の理想を崩壊させようとしている極右の嵐が起こる根本原因として、非自発的失業と非自発的移民をあげ、それを解決するものとして「ヨーロッパ・ニューディール」を提唱している。
読者諸氏には、特に、このための資金調達がどのように構想されているかに注目願いたい。